大学入試センター試験 2015年(平成27年) 旧課程 旧課程 本試 数学ⅡB 第5問 解説
(1)
データの代表値
問題文中の表より、20人の合計が$660$なので、平均値$\overline{x}$は、
$\displaystyle \overline{x}=\frac{660}{20}=33$
解答ア:3, イ:3, ウ:0
(2)
番号1の生徒について、
$y=18$
$y-\overline{y}=1$
なので、
$18-\overline{y}=1$
$\overline{y}=17$
である。
解答エ:1, オ:7, カ:0
生徒数は20だから、Aは$y$の平均値を$20$倍して、
$\mathrm{A}=17\times 20$
$\mathrm{A}$$=340$
となる。
解答キ:3, ク:4, ケ:0
193分散と標準偏差
また、$\mathrm{B}$は偏差の合計なので、考えるまでもなく$0$。
解答コ:0, サ:0
(3)
復習
相関係数は、共分散をそれぞれの変数の標準偏差の積で割ったものだった。
共分散は、偏差の積の平均だった。
相関係数
この問題の場合、
共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\cdot 353$
$x$の標準偏差$=\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 2000}$
$y$の標準偏差$=\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 500}$
なので、相関係数$r_{xy}$は、
$r_{xy}=\displaystyle \frac{\frac{1}{20}\cdot 353}{\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 2000}\times\sqrt{\frac{1}{20}\cdot 500}}$
$r_{xy}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{\frac{1}{20}\cdot 353}{\sqrt{\left(\frac{1}{20}\right)^{2}\cdot 4\cdot 500^{2}}}$
$r_{xy}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{353}{2\cdot 500}$
$r_{xy}$$=0.353$
である。
解答シ:0, ス:3, セ:5, ソ:3
(4)
$y$ | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
0以上 10未満 |
10以上 20未満 |
20以上 30未満 |
30以上 40未満 |
40以上 50以下 |
||
$x$ | 0以上 10未満 |
0 | 0 | 0 | 0 | 0 |
10以上 20未満 |
1 | 1 | 1 | 0 | 0 | |
20以上 30未満 |
0 | C | 1 | 0 | 0 | |
30以上 40未満 |
0 | D | 4 | 0 | 0 | |
40以上 50以下 |
1 | 3 | 2 | 0 | 0 |
問題文より、表Aの青で囲んだ部分の和が16、赤で囲んだ部分の和が8だということが分かっている。
青い部分の和にはCD両方含まれているので使えない。
赤い部分の和を使う。
赤い部分の和が8なので、
$\mathrm{C}+4=8$
$\mathrm{C}=4$
解答タ:4
生徒数は20、赤い部分の和は8なので、
$\mathrm{D}+10=12$
$\mathrm{D}=2$
解答チ:2
(5)
復習
もとのデータのすべてに$a$たして新しいデータを作った場合、新しいデータの平均値も$a$増える。
詳しくはこのページ参照。
確率変数の変換
なので、
$\overline{w}=33+50$
$\overline{w}$$=83.0$
である。
解答ツ:8, テ:3, ト:0
復習
もとのデータのすべてを$a$倍して新しいデータを作った場合、新しいデータの分散は$a^{2}$倍になる。
詳しくはこのページ参照。
問題文の表より、$y$の偏差の2乗和は500.0なので、これを生徒数で割ると$y$の分散となる。
$y$の分散$=\displaystyle \frac{500}{20}$
これを$2^{2}$倍して、
$z$の分散$=\displaystyle \frac{500\times 2^{2}}{20}$
$z$の分散$=100$
である。
解答ナ:1, ニ:0, ヌ:0, ネ:0, ノ:0
188データの整理
次は$z$のヒストグラムだ。
$z$分布をみるために、$z$のもとになっている$y$の分布を調べよう。
表Aより、$y$の度数分布表(表B)をつくった。
0以上 10未満 |
10以上 20未満 |
20以上 30未満 |
30以上 40未満 |
40以上 50以下 |
---|---|---|---|---|
2 | 10 | 8 | 0 | 0 |
表Bの階級上限と下限を2倍すると、$z$の度数分布表(表C)になる。
0以上 20未満 |
20以上 40未満 |
40以上 60未満 |
60以上 80未満 |
80以上 100以下 |
---|---|---|---|---|
2 | 10 | 8 | 0 | 0 |
表Cとヒストグラムを比較した場合、
0
0以上20未満に3人いるから矛盾する。
1
0以上20未満に5人いるから矛盾する。
2
0以上20未満は2人で正しいけれど、20以上40未満に11人いるから矛盾する。
ここまでくると答えは3だと分かるけど、一応確認。
3
0以上20未満は2人で正しい。20以上40未満も10人で正しい。40以上60未満も8人で正しい。それ以上は0で、これも正しい。
よって、正しいのは3。
解答ハ:3
相関係数は標準化された値なので、
復習
$x,\ y$を
$\left\{\begin{array}{l}
w=ax+b\\
z=cx+d
\end{array}\right.$ ($a,b$ は0でない実数・$b,d$ は実数)
と変換したとき、$w$と$z$の相関係数は
$a$,$c$が同符号なら、もとの$x$と$y$の相関係数と同じ
$a$,$c$が異符号なら、もとの$x$と$y$の相関係数$\times -1$
っていうのを知っていれば、答えは②だって分かるけど。
ここではそれを知らないものとして説明する。
もう一度相関係数の復習をしよう。
復習
相関係数とは、共分散をそれぞれの変数の標準偏差で割ったものだった。
復習
共分散とは、($x$の偏差×$y$の偏差)の平均、つまり$(x-\overline{x})(y-\overline{y})$の平均だった。
ということで、共分散から考えよう。
$x$と$y$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})(y_{k}-\overline{y})$式A
$w$と$z$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(w_{k}-\overline{w})(z_{k}-\overline{z})$式B
$w=x+50$なので、式Bの$(w_{k}-\overline{w})$の部分は、
$(w_{k}-\overline{w})=\{(x_{k}+50)-(\overline{x}+50)\}$
$(w_{k}-\overline{w})$$=(x_{k}-\overline{x})$式C
といえる。
また、$z=2y$なので、式Bの$(z_{k}-\overline{z})$の部分は、
$(z_{k}-\overline{z})=(2y_{k}-2\overline{y})$
$(z_{k}-\overline{z})$$=2(y_{k}-\overline{y})$式D
といえる。
なので、式Bは、
$w$と$z$の共分散$=\displaystyle \frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})\cdot 2(y_{k}-\overline{y})$
$w$と$z$の共分散$\displaystyle $$\displaystyle =2\cdot\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})(y_{k}-\overline{y})$式B'
となる。
なので、式A・D'より、
$w$と$z$の共分散$=2\times(x$と$y$の共分散$)$
といえる。
次に標準偏差について考えるのだけれど、説明がややこしくなるので、標準偏差の2乗である分散で考えよう。
復習
分散とは、偏差の2乗の平均、つまり$(x-\overline{x})^{2}$の平均だった。
$x\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})^{2}$
$y\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(y_{k}-\overline{y})^{2}$
$\hspace{150px}$式E
$w\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(w_{k}-\overline{w})^{2}$
$z\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(z_{k}-\overline{z})^{2}$
$\hspace{150px}$式F
式C・Fより、式Fは、
$w\text{の分散}\displaystyle =\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(x_{k}-\overline{x})^{2}$
$z\text{の分散}\displaystyle =2^{2}\cdot\frac{1}{20}\sum_{k=1}^{20}(y_{k}-\overline{y})^{2}$
$\hspace{150px}$式F'
となる。
なので、式E・H'より、
$w$の分散$=x$の分散
$z$の分散$=2\times(y$の分散$)$
といえる。
以上より、
$x$と$y$の相関係数$r_{1}=\displaystyle \frac{x\text{と}y\text{の共分散}}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{y\text{の分散}}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}=\displaystyle \frac{w\text{と}z\text{の共分散}}{\sqrt{w\text{の分散}}\times\sqrt{z\text{の分散}}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{2\times(x\text{と}y\text{の共分散})}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{2^{2}\times(y\text{の分散})}}$
$w$と$z$の相関係数$r_{2}\displaystyle $$\displaystyle =\frac{x\text{と}y\text{の共分散}}{\sqrt{x\text{の分散}}\times\sqrt{y\text{の分散}}}$
となるので、
$r_{1}=r_{2}$
である。
解答ヒ:2