数学C : ベクトル 同一平面上にある点へのベクトル
例題
$xyz$空間に三点$\mathrm{A}(6,0,0)$,$\mathrm{B}(0,9,0)$,$\mathrm{C}(0,0,4)$,$\mathrm{D}(3,9,6)$があるとき、平面$\mathrm{ABC}$と直線$\mathrm{OD}$の交点の座標を求めなさい。
はじめに
まず最初に、空間の中で、特定の平面上にある点へのベクトルについて復習しておこう。
復習
下図で、点A,B,C,Dが同一平面上にあるとき、次の2つの表し方がある。
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{D}}=s\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}+t\vec{\mathrm{O}\mathrm{B}}+u\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}}$
ただし、$\mathrm{s}+\mathrm{t}+\mathrm{u}=1$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{D}}=s\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}+t\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$
だった。
解法1
復習の1番目の方法で解いてみる。
平面$\mathrm{ABC}$と直線$\mathrm{OD}$の交点を点$\mathrm{E}$とする。
図Aにおいて、$\mathrm{OE}//\mathrm{OD}$なので、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=k\vec{\mathrm{O}\mathrm{D}}$式A
である。
ここで
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{D}}=(3,9,6)$
なので、式Aは、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=k(3,9,6)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$$=(3k,9k,6k)$式B
となる。
点$\mathrm{E}$は平面$\mathrm{ABC}$上にあるので、$s$,$t$,$u$を実数として
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=s\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}+t\vec{\mathrm{O}\mathrm{B}}+u\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}}$式C
ただし、$s+t+u=1$式D
とかける。
ここで
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}=(6,0,0)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{B}}=(0,9,0)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}}=(0,0,4)$
なので、式Cは、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=s(6,0,0)+t(0,9,0)+u(0,0,4)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$$=(6s,9t,4u)$式E
となる。
式B=式Eなので、
$(3k,9k,6k)=(6s,9t,4u)$
より、
$3k=6s$ | |
$9k=9t$ | |
$6k=4u$ |
であることが分かる。
これに式Dを加えて、連立方程式
$3k=6s$ | 式F | |
$9k=9t$ | ||
$6k=4u$ | ||
$s+t+u=1$ |
を解けば、$k$,$s$,$t$,$u$の値が分かる。
この問題で問われているのは点$\mathrm{E}$の座標なので、$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が成分表示できればよい。
なので、$k$,$s$,$t$,$u$の値すべてを求める必要はない。
$k$が分かれば、式Bから$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が求められる。
$s$,$t$,$u$が分かれば、式Eから$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が求められる。
ここでは$k$を求めることにする。そのために、代入法で$s$,$t$,$u$を消去する。
式Fより、
$2s=k$ | 式F'1 | |
$2t=2k$ | 式F'2 | |
$2u=3k$ | 式F'3 | |
$2s+2t+2u=2$ | 式F'4 |
式F'1~式F'3を式F'4に代入して、
$k+2k+3k=2$
$k=\displaystyle \frac{1}{3}$
これを式Bに代入して、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=\left(\frac{1}{3}\cdot 3,\frac{1}{3}\cdot 9,\frac{1}{3}\cdot 6\right)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$$=(1,3,2)$
以上より、点$\mathrm{E}$の座標は$(1,3,2)$である。
解答$(1,3,2)$
解法2
復習の2番目の方法で解くとこうなる。
平面$\mathrm{ABC}$と直線$\mathrm{OD}$の交点を点$\mathrm{E}$とする。
図Bにおいて、$\mathrm{OE}//\mathrm{OD}$なので、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=k\vec{\mathrm{O}\mathrm{D}}$式G
である。
ここで
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{D}}=(3,9,6)$
なので、式Gは、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=k(3,9,6)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$$=(3k,9k,6k)$式H
となる。ここまでは解法1と同じ。
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}=\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}-\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}$なので、式Hより、
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}=(3k,9k,6k)-(6,0,0)$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}$$=(3k-6,9k,6k)$式I
である。
また、図Bにおいて、ベクトル$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}$,$\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$,$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}$は平面$\mathrm{ABC}$上にあり、$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}\neq\vec{0}$,$\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}\neq\vec{0}$,$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}\nparallel\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$なので、$s$,$t$を実数として
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}=s\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}+t\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$式J
とかける。
ここで、
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}=\vec{\mathrm{O}\mathrm{B}}-\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}$$=(0,9,0)-(6,0,0)$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{B}}$$=(-6,9,0)$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}=\vec{\mathrm{O}\mathrm{C}}-\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$$=(0,0,4)-(6,0,0)$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{C}}$$=(-6,0,4)$
なので、式Jは
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}=s(-6,9,0)+t(-6,0,4)$
$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}$$=(-6(s+t),9s,4t)$式K
となる。
式I=式Kなので、
$(3k-6,9k,6k)=(-6(s+t),9s,4t)$
より、
$3k-6=-6(s+t)$ | 式L | |
$9k=9s$ | ||
$6k=4t$ |
とかける。
この連立方程式を解けば、$k$,$s$,$t$,$u$の値が分かる。
この問題で問われているのは点$\mathrm{E}$の座標なので、$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が成分表示できればよい。
なので、$k$,$s$,$t$の値すべてを求める必要はない。
$k$が分かれば、式Hから$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が求められる。
$s$,$t$が分かれば、式Kから$\vec{\mathrm{A}\mathrm{E}}$が求められ、$\vec{\mathrm{O}\mathrm{A}}$とたして$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$が求められる。
ここでは$k$を求めることにする。そのために、代入法で$s$,$t$を消去する。
式Lより、
$k-2=-2(s+t)$ | 式L'1 | |
$2s=2k$ | 式L'2 | |
$2t=3k$ | 式L'3 |
式L'2,式L'3を式L'1に代入して、
$k-2=-(2k+3k)$
$6k=2$
$k=\displaystyle \frac{1}{3}$
これを式Hに代入して、
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}=\left(\frac{1}{3}\cdot 3,\frac{1}{3}\cdot 9,\frac{1}{3}\cdot 6\right)$
$\vec{\mathrm{O}\mathrm{E}}$$=(1,3,2)$
以上より、点$\mathrm{E}$の座標は$(1,3,2)$である。
解答$(1,3,2)$
アドバイス
以上、2つの解法の説明をした。
解法1の方がやっていることは単純なのだが、変数が4つの連立方程式を解かないといけない。「連立方程式を解くとは、文字の種類を減らすことである」ってことが分かっていればさほど大変なことにはならないのだけど、やっぱり「文字数が多い連立方程式は嫌だ」という人もいる。
解法2の方は、作業は面倒だけど、計算は簡単かも知れない。
共通テストでは解法を自分で選ぶことはできないので、両方の方法を知っておかないといけない。
このページのはじめに載せた「復習」の内容は、しっかり憶えておいてほしい。